大奥(おおおく)とは江戸城に存在した将軍や大御所の正室や側室、その生母や子女、及び御殿女中(奥女中)たちの居所。またこれに倣って同様の呼称が用いられた尾張家や紀州家、また大大名の奥向(後述参照)の事を指す。なお本項目では江戸城大奥についてのみ扱う。
初代徳川家康の時代から江戸城に「大奥」と呼ばれる区画は存在していたが、その当時は「表」と「奥」―つまり男性と女性の境界が存在せず、正室や女中などが表に足を運んだり家臣が奥を訪れる事があった。その後、3代徳川家光の時代に家光の乳母で権勢を振るった春日局が元和4年(1618年)に大奥法度を定め、将軍家の奥を制度上で部署的なものとして整備し統括した。
慶応4年(1868年)4月、江戸幕府は新政府軍に江戸城を明渡すことになった。大奥に残っていた、本寿院(13代将軍生母)と天璋院(13代将軍御台所)は一橋家の屋敷へ、静寛院宮(和宮親子内親王)は西ノ丸にいた実成院(14代将軍生母)とともに田安屋敷へと移り、城の明け渡しに備えた。4月11日(5月3日)、東海道先鋒総督が江戸城に入った。この時、城に入った人数は約800名とされる。大奥法度も廃止となった。
ちなみに最後の将軍であった徳川慶喜の正室・一条美賀子は一度も大奥入りしなかったので、この場には立ち会わせなかった。
[編集] 大奥の身分・役職
[編集] 正室 - 御台所
大奥一の女主に相当するのが正室たる御台所である。御台所の居所は、天守台に近い位置にある御化粧間とその周辺の区画で、天璋院の時代は「新御殿」と呼ばれていた。この内、「新御殿御上段・御下段」と「御休息」が居間にあたり、「御切形之間」が寝所に当たる。
御台所は慣わしとして天皇家、宮家、及び公卿から迎える事となっている。武家から迎える場合も仕来りとして、まずは公家に養子になりその後輿入れした。 正室でありながら御台所が実際に権力を握った例は少なく、生前に官位を賜ったのは
6代家宣正室の近衛煕子
10代家治正室の五十宮倫子女王
11代家斉正室の近衛寔子
13代家定正室の近衛敬子(島津篤子)
の4人だけで、世嗣となる子供を産んだのは2代秀忠正室の於江与だけである。そのため大抵は上級の奥女中や世継ぎを産んだ側室、及び将軍生母が実権を持っている場合が多かった。
御台所は自らの夫が亡くなった場合は落飾して本丸から退き、西丸に移って将軍の菩提を弔いながら余生を過ごした。
[編集] 側室 - 生母
将軍の側室は基本的に将軍付の中臈から選ばれていた。将軍が目に適った者の名を御年寄に告げると、その日の夕刻には寝間の準備をして寝所である「御小座敷」に待機していた。もし御台所付の中臈が将軍の目に適った場合は将軍付御年寄が御台所付御年寄に掛け合って寝間の準備が行なわれたとされている。
寝間を終えた中臈は「お手つき」と呼ばれ、懐妊すれば「お腹様」となり正式に側室となる。その後、自らの産んだ子供が世嗣と定まればその子が将軍宣下を受けると同時に将軍生母と呼ばれるようになり、大きな実権を握る事ができた。但し側室や将軍生母の大奥内での立場は時代によって異なっており、世嗣を産んだからといって必ずしも実権を持てたわけではない。例として、5代綱吉の生母である桂昌院は御台所、側室於伝之方、姫君よりも順序が先となっている。稀に出産後や落飾後に上臈年寄上座格が与えられる事があるが、あくまでも給与面的なもので決して御年寄の権限が与えられてはいなかった。
落飾後の側室は二丸御殿か桜田御用屋敷で残りの余生を過ごした。
[編集] 大奥女中
大奥に住む女性たちの大部分を占めていたのが女中たちであった。ちなみに幕府から給金を支給されていた女中たちすべてを「大奥女中」と言い、実際には将軍家の姫君の輿入れ先や息子の養子先の大名家にも存在していたという。女中の人数は最盛期で1000人とも3000人とも言われる。
女中は基本的に将軍付と御台所付の女中に大別されているが、役職名は殆ど同じである。但し、格式や権威に関しては将軍付の方が高かった。また、特定の主人を持たない女中たちを「詰」と呼称していたという。
大奥総取締について
近年の小説、ドラマ、映画等の大奥作品の中に「大奥総取締」という呼称が登場するが、実際には存在しない役職である。
但しこの呼称は一部の書籍に登場しており、於万之方や右衛門佐のように御年寄の役目を担っていなかったものの大奥の総支配を命ぜられた女性たちや、初期の職制が確立されていない時代の女性である春日局の立場を説明する際に「大奥総取締」やそれに類似した表現が用いられている。だが先述したように大奥には総取締という役職名は実際には用いられていなかったことから、先にあげた右衛門佐などの女性がどのような立場にあったのかは定かではない。
これが1984年版の大奥。 昨年お亡くなりになった岸田今日子さんの美声がそそりますね。 震える声でお~~お~くは~~おんなのるつぼにございますう~って。
こういうどろどろした世界。 一度は経験してみたいものです。
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